「公認不倫」なる言葉をご存知でしょうか?セックスレス夫婦の新しいカタチとして注目されている不倫概念です。
お互いに恋人を持ち、それを夫婦で認め合うフシギな関係性。
結婚生活を良好に保つ有効策として肯定する流れも起きるほど話題に。
しかし、夫婦公認で不倫をおこなう大胆なスタイルにはうまくいかない落とし穴も含まれています。
セックスレス夫婦にとって最良の改善策になるのか?公認不倫のスタイルがうまくいかない理由をリスクの側面から解説します。
最初に知っておきたい“公認不倫”の定義とは?
“公認不倫”とは、『夫婦がお互い家庭外での恋人作りを認めた不倫』のこと。
ふつうの不倫は夫婦間でバレないよう隠しますが、お互い正直に打ち明けておこなうのが大きな特徴です。
そんなところから公認不倫は別名「オープン婚」とも呼ばれています。
夫婦の「セックスレス問題」が公認不倫の背景にある
あなたの周りにもセックスレスのご夫婦はいませんか?
いまの日本では年齢が若くてもセックスレスになる夫婦が増加しています。
「日本家族計画協会」2016年のリサーチによれば、セックスレス夫婦の割合は30代でなんと“47.2%”!
まだまだ若い30代夫婦でおよそ半数がレスであり、年々その数は増える傾向にあるというから驚きです。
さらにコンドームで有名な「相模ゴム工業株式会社」の2013年WEBアンケート調査“ニッポンのセックス”によると、
「結婚相手、交際相手と世間一般に言うセックスレスだと思いますか?」
の問いに対し、既婚者の55.2%が「セックスレスだと思う」と回答。
複数のアンケートで約半数もの夫婦がレスを認める結果となり、既婚者同士のセックスレスは深刻な問題であることがうかがえます。
公認不倫に踏み切る夫婦の主目的は「セックス」
“既婚者が外で恋人を作る”といっても、一緒にお茶しておしゃべりするだけではありません。
不倫は、結婚していながらも夫婦以外の異性と不貞な関係にいたった状態。
不貞行為は肉体関係をもつことであり、実質的に“セックスする間柄”であることを意味します。
公認不倫も不倫の一種である以上、セックスが目的ではじまる関係なのです。
夫と妻が公認で恋人を作ることで関係を良好にできる夫婦もいる
大胆に公認不倫をたのしむ夫婦が主張するメリットに、“夫婦関係の改善”があります。
夫婦関係のひずみがセックスレスによって生まれている場合、お互い外での性欲発散ができることで、逆に家庭内では仲良くできるという理屈です。
「堂々と不貞行為をするなら離婚すべき」といった公認不倫に否定的な意見もありますが、現代の夫婦関係は画一的に説明できるほど簡単ではありません。
(ポリアモリーの概念に代表されるように、20~30代女性のなかにも“一人の恋人としか関係をもってはいけない、という考え方に違和感がある”といった感覚をもつ人があらわれています。)
『夫として(妻として)、結婚相手には情も信頼もある。これからも一緒に子供を育てたい。でも、セックスの対象としてはまったく見られない。』
夫婦のミゾを作った原因がセックスのみというケース。
30代の夫婦で完全なセックスレスになれば、性欲はたまる一方です。
そこで話し合い、裏でコソコソ不倫するのではなく互いの性の悩みを理解し、解決に向けて公認不倫に踏み切るわけです。
日本人夫婦の公認不倫がうまくいかない理由とリスク
そこそこ理屈は通っているように思える「公認不倫」ですが、いいことばかりではありません。
うまくいかない理由や夫婦関係が悪化するリスクがある点には要注意です。
そもそも夫も妻も心から納得できていないと破たんする
公認不倫が日本人にとって“斬新すぎる感覚”であることは間違いありません。
セックスレスに悩みつつも、公認不倫を受け入れられない夫婦はたくさんいるでしょう。
たとえば夫が公認不倫に積極的で、妻も理解したいと思いつつやっぱり抵抗を感じてしまう。
こうした夫婦の場合、妻の反対で公認不倫ができないどころか「夫はあたし以外とセックスがしたいんだ…」と信頼関係にヒビが入ることすらありえます。
夫婦の性の悩みまでは理解できても、どんな解決策を望むか?は人それぞれ。
セックスレスに対する解決策が一致しないこともあるわけですね。
改善するどころか夫婦関係の崩壊や離婚にいたる可能性も含んでいるのです。
“自分の生き方”として公認不倫の覚悟がなければ子供への説明が難しい
幼稚園・小学校にかよう年齢のお子さんがいれば、どこに出かけてるのか?聞かれることもあるでしょうし、子供にウソをつかないのならいつかは説明することになります。
結婚や夫婦の一般的な意味を理解した子供にたいして、公認不倫の関係をどう伝えるかは困難をきわめます。
堂々と「お父さんには彼女がいて、お母さんにも彼氏がいるのよ」と説明できる人なら問題ありません。
しかし、子供の教育や常識をかんがえた途端にうろたえてしまうご夫婦もおおいことでしょう。
公認不倫である以上、“一貫した自分たち夫婦の生き方”としての覚悟を持って子供と向き合う必要があります。
夫or妻どちらかが恋愛やセックスにほぼ興味を失っていれば理解すらされない
男性でも女性でも、結婚したあとに驚くほど性欲や恋愛願望をなくす人がいます。
それがゆえに夫婦のセックスレスとなっているわけですが、当の本人からすれば「なぜそこまでセックスがしたいのか?」「結婚したのにまた恋愛したい感覚がわからない」となっているわけです。
あまりにタイプの違うデコボコな夫婦関係においては、公認不倫はとてもリスキーな選択。
セックスレス解消はもちろん、夫婦関係の改善すら難しくなるでしょう。
外に恋人を作るタイミングが夫婦でズレるとうまくいかない
話し合いの末、「公認不倫で夫婦のセックスレスを解消しよう」と合致した夫婦にもリスクはあります。
短い期間で既婚者が気のあう恋人を外で見つけられるでしょうか?
少なくとも、夫婦間で恋人ができるまでのタイムラグは生じるはずです。
どちらかには先に恋人ができ、どちらかはずっと恋人が見つからない…
すると、先に恋人ができてセックスを楽しんでいる相手に対し、嫉妬心や嫌悪の気持ちが生まれるケースもあります。
“オープン婚”というライトな言葉でもいわれる公認不倫ですが、決めた以上は相手に対しておおらかな気持ちで認めてあげられなければなかなかうまくいきません。
スピード回転の恋人選びでパートナーの信頼を失う
テンポよく最初の恋人ができたとして、その情熱がいつまで続くか誰にもわかりません。
もし短期間で別れてしまえば、また新しい恋人を探す。
「いくら外に恋人を作るといっても、そんなにコロコロ相手を変えるなんて…」
こうしたループを見てパートナーがこころよく思わないこともあるでしょう。
新しい恋人関係の構築をいそぐあまり、相性のよくない異性とつきあってしまうことで起こる問題。
このあたりは夫婦関係を作ることとおなじように、自分が情熱を持って関係を築ける恋人を見つける心構えが必要です。
公認不倫のつもりが本気で好きになってしまう
人間ですから恋愛するなかで、いつどんなタイミングで気持ちの変化が起きるかは予測できないものです。
セックスレス解消目的のはずが、いつのまにか外の恋人を本気で愛するようになる。
すると、もともとセックスレスだった夫婦関係自体を解消したい気持ちにかられます。
夫婦である相手からすれば、“公認不倫によって離婚につながる状況”は想像つかないほどのデメリットに感じるでしょう。
【成功のポイント】公認不倫の失敗を避けるために夫婦間でできること
デメリットから見てきましたが、逆に公認不倫を成功させるポイントも気になるところ。
ここからは、失敗しない公認不倫のやり方を学んでいきましょう。
公認不倫に対する互いの納得感はしつこいほど確認する
他人のバッシングさえ気にしなければ、結婚相手のOKをもらって恋人とセックスできる公認不倫。
ところがいざ旦那(妻)が恋人とのデートに出かけ、セックスして帰ってくる現実に耐えられなくなる人もいます。
セックスレスに問題を感じていることを前提に、“解決策として公認不倫を選んだ”ことに心底納得していなければうまくいきません。
いざ恋人さがしをはじめる前にしっかり現実を想像し、夫婦間でちゃんと納得したことをしつこいくらい確認する必要があります。
公認不倫に関して夫婦間で決めたことは紙に残し、“言った・言わない”を避ける
“婚姻関係は継続しながらお互い外で恋人をつくる”のが公認不倫ですが、細かいルールはそれぞれの夫婦しだい。
・恋人はひとりだけ認める(複数交際NG)
・家に帰ってきたら恋人とのLINEや電話はしない
・会ってセックスするのは週に1回まで
など、お互いにストレスのかからない行動ルールを話し合って決めます。
そして、あとあと喧嘩にならないよう決めたルールは紙に書いて残しておきましょう。
夫婦どちらかが嫉妬心にかられ、“言った・言わない”の口論によって関係が悪化しては元も子もありません。
子供の世話・家事など家庭の役割分担を明確にする
子供がいるご家庭では育児・家事は重労働。
夫婦がお互いに恋人をつくるなら、「料理・洗濯・掃除は妻担当、子供のお風呂・寝かしつけ担当は旦那」など、役割分担はできるだけ明確なほうが衝突をさけられます。
また、外の恋人と会う回数や曜日を決めておかなければ、家事負担のバランスがかたよります。
「恋人と会う日は家にいる方が家事と子供の世話を担当。出かけた方は○○時までに帰宅する。」
といった具合に、夫婦の役割分担を明確化することもポイントです。
新しい恋人との結婚はお互いNGとする
そもそも公認不倫をはじめる夫婦は、セックスレス以外はうまくいっているはず。
情や信頼関係もあるので子育て・家事を含む夫婦関係を継続する流れで、別に恋人を作るわけです。
それが恋人に夢中になり、「新しい人と結婚したい」と考え出すようでは家庭が崩壊してしまいます。
外でセックスをして性欲・恋愛欲を満たす。そして家庭生活はうまくやる。これが公認不倫。
築いてきた家庭や子供を守るためには、新しい恋人との結婚をNGとするのも有効策です。
公認不倫をスタートするなら自分たちの決断に自信を持つ
公認不倫の関係がはじまるまでは、情報を調べたり人に意見を聞いたりして不安になるかもしれません。
しかし、デメリットを踏まえてもなお、公認不倫を二人で選んだのなら決断を肯定しましょう。
「うまく夫婦関係を改善するための最善策なんだ」と人に伝えられるくらい自信をもつことが大切です。
お互いが公認不倫をとおして感じた素直な気持ちや、今後について定期的に話し合う時間を作るのも成功の秘訣です。
【結論】“公認不倫”は夫婦の理解・タイミング・感覚の一致が必要
いち早く公認不倫の考えに共感しうまくいっている夫婦は、夫と妻の考えがシンクロしています。
どれだけ他人に「そんなのおかしい」と指をさされようと、「これが私たちなりの夫婦円満です」と胸を張っていえる感覚が求められます。
逆にいえばそれだけ一般的な日本人感覚を持った人には受け入れらない考え方ですし、反対派(アンチ)を生むわけです。
あまり前例のない夫婦関係に挑戦するわけですから、夫婦それぞれの理解度や感覚のすり合わせは必須になるでしょう。
セックスレス問題の打開策として“公認不倫”に興味をもった人は、メリット・デメリットをよく考えて検討してみてください。
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ECRII編集部 荻野
年齢非公表の男性編集者。かつては小説家志望で、恋愛小説をもって、とある文学賞へ応募した過去あり。エビデンスに基づいた恋愛心理の分析や統計的にみた恋愛パターンなど、形のない恋愛だからこそ、もっと科学的、学術的に恋愛を掘り下げてみたいと密かに思案中。その一方で、著名人の恋愛報道や不倫スキャンダルなど、刹那的な恋愛時事ニュースも大好物という一面も。