不倫や浮気をするのは人間だけ。
そう思っている人も多いと思いますが、実は動物も浮気や不倫をするのです。動物は人間よりも原始的な思考で、「生存する」「子孫を残す」というために性行為をし、子どもを産み育てています。今回はこの本能的な部分から不倫や浮気について解説していきます。
動物の浮気や不倫は本能によるもの?
不倫や浮気をした男性の言い訳として、「本能的なもの」という言葉が出てくることがあります。本当に不倫や浮気は本能からくるものなのか疑問に思う人も多いと思います。野生動物はみな、繁殖期に相手を見つけ、子を産み、育て、子孫を残していくという本能を持っています。これは人間も同じです。
野生動物のメスはより強いオスの子を産もうとします。これはなぜかというと、生存競争に勝ち残り、子孫を残すためです。そしてサルやライオンなどといった群れを作る動物は、一番強いオスがボスとなり群れを守り、より多くのメスと交尾することで強い子孫を残していきます。しかし、力のないオスでもやはり子孫を残すという本能は働くので、ボスの目を盗んでメスと交尾することがあります。
長期間エチオピアの周辺に生息するゲラダヒヒというヒヒの観察を続けていたチームによると、ゲラダヒヒは浮気のような不貞行為を隠す修正があるということが判明しています。ここから考えると霊長類として進化した段階では既に不倫や浮気を行い、隠す行為もあったと考えられています。そのため動物は本能で浮気や不倫をするというのは当たっているともいえます。
動物は進化するのに浮気が必要だった?
人類が進化したから浮気する、という考えを持っている人がいますが、実際には浮気したことで進化したという説が一般的になっています。日本の動物行動学研究科である竹内久美子氏が「浮気人類進化論」という大変興味深い進化論を発表しているのです。
この話は旧石器時代などの狩猟時代にまで話がさかのぼります。この時代は今よりも知能や理性が発達していなかった、より原始的で野生の本能が強い傾向にあります。
狩りに出た男衆は狩猟中に動物としての本能で多くの子孫を残すために浮気をしようとしますが、全く知らない女を口説くために言語が発達したというのです。また、女性のほうは夫が浮気をしないように気を付ける必要があったこと、悪い男に捕まってしまわないように周辺の妻たちとの会話で情報交換を行うため言語能力が発達したというのです。今でも女性はうわさ話が好きなのはこれらが原因ではないかともいわれています。
この論文以外でも、人類や動物が浮気や不倫をしたことで知性を高め進化したという説が多く、進化したから浮気というのは間違いのようです。
「おしどり夫婦」鳥も浮気や不倫をしている?
よく仲のよい夫婦の例えとして「おしどり夫婦」といった言葉が使われます。この言葉の元となったのは「オシドリ」という鳥です。
このオシドリがどうして「おしどり夫婦」の語源となったのかというと、日本では昔からつがいの1羽を捕まえると、残された1羽が相手を思い続けて死ぬという言い伝えがあります。「相手を思い死ぬ」ということでオシドリという名前が付いたという説があるほどで、ここから仲のよい夫婦の例えとして使われるようになったようです。
実際、オシドリのつがいは、繁殖期には一緒にいることをよく見かけるため、人間から見るととても仲睦まじく見えるのですが、実際には他のオスにメスがとられてしまわないよう見張るため、オスが一方的にくっついているともいわれています。しかしここからが「おしどり夫婦」という言葉とは反対の行動になっていまいます。何とオスはメスが卵を産むと抱卵を手伝わない・育児もせずにメスの元から消えてしまうのです!
オシドリだけではなく、鳥類のほとんどは毎年相手を変えています。これは自分たちの子孫を残すため、より健康で若い個体に自分の子どもを産んでもらうためなのです。そのせいか、メスが多いと浮気が多くなり、オスが多いと不倫が多くなるという分析結果も出ています。鳥以外の動物も相手を変え、不倫や浮気をします。この結果が一般的に広まると「オシドリ夫婦」は不倫や浮気で乱れた家庭のことを指す言葉になってしまいそうです。
サルの生態と不倫や浮気の関係性
サルの群れにはボスがいます。このボスザルがメスを周辺に置きハーレム状態を作り出し、群れで一番強いボスの子を残していきます。若いボスザルはボスの目を盗んでおこぼれをもらうこともあります。
3年もたつとボスザルの世代交代が行われますが、メスは古いボスザルには見向きもしません。本能的に強いオスの子孫を残そうという意識が強く働くためです。しかし、強いボスザルがいる状態で他のオスに浮気をしたりすれば浮気相手のオスはもちろん、メスまで群れの中で仲間外れにされるなどといった制裁が加えられることも珍しくありません。
サルのこのような生態を考えて人間にあてはめてみましょう。人間とは言え、しょせんは動物です。そのため動物の本能的に不倫や浮気をして子孫を増やそうという思考が無意識下にはありますが、普段人間は理性で抑えています。不倫や浮気をする人は本能的なものに正直な人なのかもしれません。逆に女性の場合なら、より強い子孫を残すために、現在お付き合いしている男性よりも魅力的・強さを感じる人に惹かれてしまい、浮気するといったふうに考えることができます。
以上、今回は野生動物の浮気や不倫といった視点から、人間の浮気や不倫について解説しました。
野生下の動物たちは、「種を残す」という本能が強いために、不倫や浮気も当たりまえのように毎年パ―トナーが違うこともごく自然に行われています。これは「強い子孫を残すため」の行為であって、人間の求めているものとは少し違います。
しかしながら、もちろん人間にも当然このような本能は残っているので、こうした本能的な部分を強く残した人が浮気や不倫をしやすいのかもしれませんね。
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ECRII編集部 荻野
年齢非公表の男性編集者。かつては小説家志望で、恋愛小説をもって、とある文学賞へ応募した過去あり。エビデンスに基づいた恋愛心理の分析や統計的にみた恋愛パターンなど、形のない恋愛だからこそ、もっと科学的、学術的に恋愛を掘り下げてみたいと密かに思案中。その一方で、著名人の恋愛報道や不倫スキャンダルなど、刹那的な恋愛時事ニュースも大好物という一面も。