不倫では時として自分のいいたいことを敢えていわず、グッと耐えることが二人の良好な関係を維持する上で重要となることも少なくありません。
今回は、私たちのもとに相談に来てくださった30代前半の女性〈Aさん〉の経験談をもとに、不倫における忍耐の大切さについて解説していきたいと思います。
「離婚は君のためにするわけじゃない」
Aさんは、とあることがきっかけで相手の男性と出会い、プライベートで何度か食事へ行くうちにその男性と不倫関係になります。
約一年半にわたって不倫関係は続き、彼と奥さんの関係はもはや破綻状態となり、平日でも家庭のことは気にせず週に2〜3回は密会をする関係にまで発展しました。
Aさん自身も彼と奥さんの関係が破綻状態にあることを知っていたため、いずれ彼は今の奥さんと離婚をし、自分と再婚してくれるものだと思っており、実際、彼もそのような意思があることを頻繁に口にしていました。
しかしながら、不倫を始めてから一年半が経過しても、彼から離婚に関する具体的な進展の報告はされず、Aさんは徐々に苛立ちを感じ始めています。
ことあるごとにAさんは、彼に対して「いつ離婚をするのか」と問いただしましたが、彼の口からは曖昧な答えしか返ってきません。
そしてある日、業を煮やしたAさんが本当に離婚をする気があるのかと強めに問いただすと、彼は「こっちにだっていろいろな都合があるんだ!それに離婚は別に君のためにするわけじゃない!」と強い口調で返されてしまいました。
この日以来二人の関係はぎくしゃくするようになり、毎日のようにとっていた連絡も2〜3日に一度程度まで減ってしまいます。
Aさんは彼がいった「離婚は別に君のためにするわけじゃない」という言葉に大変なショックを受け、再婚どころか不倫関係の継続すら危ういのではと感じるようになりました。
必要なのは、忍耐力と包容力
実際に不倫をしたことがある方にしか分からないかもしれませんが、このような事態に陥ってしまう不倫関係にある二人は大変多く、Aさんのケースは典型的な例といえるんです。
Aさんの言動で特にまずい点は、彼が離婚について真剣に考え、慎重に物事を進めているにもかかわらず、あまりに長い時間がかかることにAさんが耐えきれなくなり、詰め寄ってしまったという点です。
時間がかかってでもAさんとの関係を成就させたいと考える彼にとって、Aさん自身から横やりを入れられることは裏切りにも近く、強い口調で反論したくなるのも無理はないでしょう。
実際、このような事態に陥ってしまい別れてしまう不倫カップルは非常に多く、この構図は普遍的なものといえます。
この状況でAさんがとらなければならなかった対応は、自身の気持ちをうまくコントロールし、耐え忍ぶことで、彼が離婚に向けて動きやすい環境を整えてあげるということでした。
そのためにAさんは、相手の表面的な対応だけでなく、内面での焦りなどの心情も読み取ってあげるべきでした。
頭では理解できていても、心をコントロールするのは難しい
彼との関係がぎくしゃくし始めたAさんは、同様の経験をしたことがある知人にこのことを相談しました。
相談をされた知人は、Aさんと彼がそれまでにした会話などを基に、彼の気持ちをAさんに対して代弁することに努めました。
その結果、Aさんの気持ちは落ち着きを取り戻し、彼との関係修復に向けた取り組みを実行し始めます。
しかしながら、彼との関係が修復され始めた矢先にAさんは、デートの予定をキャンセルされたことをきっかけに、再び彼に対して強い言葉を投げかけてしまい、大喧嘩に発展してしまいます。
Aさんのこのような言動からも分かる通り、不倫においてとにかく耐え忍ぶことが重要であるということは頭では分かっていても、実際に行動に移すことは困難を極めます。
そのため、Aさんの例では「彼に対して離婚の進展を問いただすのは慎むこと」と「つらくなったら彼にいうのではなく、知人に相談すること」の2点のみを強く肝に銘じ、実行する必要がありました。
突然訪れた、その日
嘘のように感じられるかもしれませんが、上述した2点を肝に銘じ、彼と接するよう心がけていたAさんは、半年後、突然彼から離婚の報告を受けました。
あまりに突然のことだったため、Aさんはあっけにとられてしまいましたが、その後は周りの目を気にすることなく彼と交際できることに大きな喜びを感じ、再婚も視野に入れた交際を続けているとのことです。
不倫には誰しもが後ろめたさを感じるため、早く彼と再婚をし、楽になりたいと思うことはおかしなことではありません。
しかしながら、そのことがフラストレーションとして溜まってしまうと、彼の些細な言動にも耐えられなくなり、自身の感情を爆発させ、彼との関係さえも破綻させてしまうもの。
やはり、不倫の恋における秘訣は、忍耐にアリと言えそうです。
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ECRII編集部 利根川
大学では心理学を専攻、卒業後、某出版社勤務を経て現職。趣味は人間観察。一見、色香豊かな女っぽい容姿にも関わらず、男性・女性に偏らないフラットな物事の見方や男女問題にまつわる過去の取材、手掛けた記事といった膨大なデータから導き出す的確なアドバイスに、男女を問わず周囲からの恋愛相談が耐えない。将来の夢は『猫たちと平穏に暮らす石田ゆり子』になること。