既婚者同士の関係は本当にダメ?どこまでが許容範囲?『恋愛そもそも論』

2018.5.7
鳥が自分のパートナーが他の人といちゃついている様子を目撃している

芸能人や政治家の不倫に関する報道が激化すると、「そもそも不倫は悪なのか?」という議論もにわかに沸き起こります。ここではそんな「不倫そのものの良し悪し」という根源的な問題について考えてみたいと思います。

不倫といえども愛のカタチ

不倫の良し悪しについて考える際に、頭ごなしに不倫は悪いものだと決めつけてしまう人は少なくありません。しかしながら、このような問題について考える際には、大前提として「不倫といえども愛のひとつのカタチである」という考え方を忘れず、対等な立場から「不倫」と向き合わなければなりません。

それではなぜ、不倫を愛のひとつのカタチとして考えず、頭ごなしに悪いものだと決めつけるのが一般的になってしまったのでしょうか?

元来日本では、江戸時代まで一夫多妻制である「側室制度」が存在し、また、それ以降もお見合い結婚や許婚などの慣習が存在したことから、恋愛を二人だけの意思で自由に行うことは困難でした。その反動として恋愛結婚が主流となった昭和後期以降は、恋愛そのものを結婚などと結び付けた「清く美しいもの」として捉える人が圧倒的に多くなり、それに比例する形で「不倫=悪」という考え方もより一般的になりました。つまり不倫を愛のひとつのカタチとして捉えず、頭ごなしに批判することは、恋愛結婚が主流となったことが大きく影響していると考えられます。

本能的に動物は不倫をするもの!?

不倫の良し悪しについては、動物としての本能という側面から考えてみると一般論とは異なる見方ができます。

ほとんどの場合、人間以外の動物は特定の相手とのみ交配をするということはなく、より多くの相手と交配関係を結びます。当然子どもを身ごもることとなるメスはその頻度に限界がありますが、少なくとも生涯において2人以上の相手の子どもを身ごもることが許されないということはないでしょう。

これは、元来動物にはより多くの子孫を残すことが本能的にインプットされており、それが行動規範のひとつとなっているためといえます。つまり「不倫」という概念はそもそも人間以外の動物は持たないだけでなく、複数の相手と交配関係を結ぶことを悪とする考え方は、より多くの子孫を残さなければならないという動物の本能を大きく阻害するという意味で非合理的といわざるを得ないでしょう。

当然、このような本能的な考え方だけを人間の場合に置き換えてしまうのは危険です。しかしながら、この考え方に基づけば、少なくとも頭ごなしに不倫を悪とする考え方は、不倫の良し悪しについて考える際にはふさわしくないといえるでしょう。

パートナーと肩を組みながら他の男性と手を繋いでいる女性

倫理観は常に第一に考えられるべきものではない

不倫を動物の本能という側面だけから考えることが危険であるのは、人間には他の動物が持たない「倫理観」を持っているためです。

例えば「人のものを盗むこと」や「人を殺すこと」が人間社会において許されないのは、倫理的な考え方において、それらが明確に悪と認定されているためです。逆に動物が他の動物の食べ物を盗んだり、縄張り争いなどで他の動物を殺したりするのは、根本的に動物は倫理観を持っていないためでもあります。

このような倫理観のみを基に不倫の良し悪しについて考えた場合、少なくとも現代においては不倫が悪となることはいうまでもないでしょう。

しかしながら、倫理観は人間の行動規範となる一方、時代や場所によって頻繁に変わるという特徴も持ち合わせています。例えば、一夫多妻制は不倫を正当化する制度と考えることができますが、現在でもこの制度が採用されている国は存在する上、日本においても上述のとおり、江戸時代までは一夫多妻制度が採用されていたという事実があります。

このように、倫理観は時代や場所によってすぐに変わってしまうという脆さも持ち合わせており、不倫についても常に倫理観だけを第一に考えることは危険といえるでしょう。

一方で、不倫リスクに対する意識は常に必要

しかしながら、現代社会においては倫理観のもと法律が制定されており、現代の倫理観にそぐわない不倫が法的に見て大きなリスクを伴うということは忘れてはいけません。

例えば、いくら本能的に考えて不倫は必ずしも悪ではないという主張をしても、自身が働いた不倫が倫理観に背いていないことを証明できない限り、法的に見れば不利な立場に立たされることはいうまでもありません。現代の日本においては、不倫を罰する「姦通罪」のような法律は存在しませんが、不倫を理由とした離婚の裁判や慰謝料額の決定においてはほぼ間違いなく不利な立場に立つこととなるため、リスクに対する意識は常に持たなければなりません。

また、倫理観に反する不倫をはじめとした行動は社会的信頼を失うという点でも大きなリスクを伴うことは忘れてはならないでしょう。このことは、たとえ不倫関係を解消したり、示談が成立したりしても、倫理観に反した行いをしたことに対する不信感は、職場や友人関係においては根強く残り続けるという点で忘れてはなりません。

ECRII編集部 荻野

ECRII編集部 荻野

年齢非公表の男性編集者。かつては小説家志望で、恋愛小説をもって、とある文学賞へ応募した過去あり。エビデンスに基づいた恋愛心理の分析や統計的にみた恋愛パターンなど、形のない恋愛だからこそ、もっと科学的、学術的に恋愛を掘り下げてみたいと密かに思案中。その一方で、著名人の恋愛報道や不倫スキャンダルなど、刹那的な恋愛時事ニュースも大好物という一面も。

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