世界的に有名な女優であるオードリー・ヘップバーンは日本での知名度も高いといえるでしょう。
代表作として知られている「ティファニーで朝食を」は今でも人気の作品です。
この原作や映画は1950年~1960年代のアメリカを舞台にして描かれていますが、実は現代の日本において通じるところがあります。
ヘップバーン演じるホリーは、娼婦だった?
ニューヨークを舞台にした「ティファニーで朝食を」はオードリー・ヘップバーン演じるホリー・ゴライトリーとジョージ・ペパード演じる小説家のポール・バージャクが恋に落ちるラブストーリーです。
ホリーは高価なものを身にまとい、高級宝飾店ティファニーで朝食を食べるような優雅な生活をしている貴婦人のように見えますが、実際はコールガールとして働く娼婦であり、自由奔放に都会で生きる女性でした。
不幸な生い立ちや孤独をかき消すように、自分の部屋でどんちゃん騒ぎをして過ごしますが、元は純粋で不器用なため、何度も男たちに騙されてしまいます。
そこに同じアパートメントに引っ越してきたポールと恋に落ちますが、彼もまた、年上の女性から援助されて生活をしていたのです。
さまざまな境遇を抱える男女が都会で生き抜く姿を映し出しています。
ホリーがティファニーのショーウィンドウを眺めながらひとりでデニッシュとコーヒーを頬張り、朝帰りする冒頭のシーンも、都会に暮らす孤独な人々の心を描いているのです。
孤独な心が増えた、都会での恋
都会には、何不自由なく暮らしている人だけが住んでいるわけではありません。
さまざまな過去を背負った人たちが、慣れ親しんだ街を離れて思い描いた夢を叶えるために都会に出てくるのです。
例え家族や友達がいなくても、理想の生活をしたいという希望を持って毎日必死に過ごしています。
そんな同じ境遇の孤独な男女が出会うと、互いの心を温めるかのように恋が始まるのでしょう。
都会にはたくさんの人が存在するからこそ、心から信じられる人と出会うことすら難しいといえます。
そのことが、より一層誰かとつながりたいという気持ちにつながり、寂しさから恋愛を求める人も多いのです。
もちろん、互いに惹かれ合い、いわゆる一般的なカップルとして支え合う人たちも多いのですが、そこには恋愛感情はなく、ただ寂しさを埋め合うような関係も少なくありません。
ひとりでいること自体が受け入れられず、毎日違う男性と会ったり、彼氏だけでは孤独な気持ちが埋められずに、他の男性とも恋愛したり、そういった寂しいという感情だけが理由で異性を求める恋の形が都会ならではのストーリーを生み出すのです。
「寂しいから繋がりたい」は間違い?
孤独な気持ちを埋めようと、一瞬だけでも誰かとつながっていたいというのは現代に多く見られる現象です。
特に、都会ではどこに行ってもたくさんの人がいて、楽しそうなカップルや仕事もプライベートも充実した幸せな毎日を送っていそうな人たちを見かける機会も多いでしょう。
その度に、自分の現実と比べてしまうのです。
理想の生活を夢見て都会に出てきたものの、心から信頼できる人もいなく、それとは程遠い毎日を過ごしている、などとさらに自分で自分を孤独に感じさせてしまいます。
見た目は都会に合わせて取り繕っても、心は満たされていないのです。
そのことから、一般的な恋愛とはいえない関係でも誰かとつながっていたい、寂しさを紛らわせたい、と求めてしまう人が多く存在します。
この関係は良くないとわかっていても、一瞬でも孤独から逃れたいという気持ちが勝り、複雑な恋愛を進めてしまうのです。いつしかそれが間違いなのかすら、わからなくなっている人も少なくありません。
現代の私たちは、どこで朝食をとるのか?
「ティファニーで朝食を」では高級宝飾店で優雅に朝食をとりつつも、実際には一緒に過ごす人がいないという孤独な心情を描いたシーンがとても印象的です。
この作品の、都会で生きるさまざまな過去を背負った男女の孤独さと現代に生きる人たちの寂しさはどこか似ているところがあります。
都会では何でも手に入り、利便性を感じることも多く、見た目を綺麗にすることも幸せそうに振舞うことも簡単にできるのです。
「ティファニーで朝食を」は1950年代頃の作品であり、そのときよりも遥かに生活が豊かになったといえるでしょう。
しかし、どんなに便利で豊かになっても孤独を抱える人は多く、お金やモノだけでは心を満たすことはできないということになります。
寂しさからだけでなく、心から信頼できて愛する相手と一緒に朝食を食べることこそが、本当の幸せといえるのではないでしょうか。
名作であるオードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」は、現代の都会で生きる人たちにも通じるものがあります。
人に話せない恋や偽りの関係に疲れた時には、一度この名作を観てみてくださいね。
この記事をシェア&LIKE
ECRII編集部 吉岡
新人編集部員。三度の飯より恋が好き、な恋愛至上主義者の26歳女子。過去に10歳年上の男性との不倫経験あり、現在はパートナー募集中。仕事がうまくいっている時ほど、恋愛もうまくまわり出すものだと信じ、現在は連日編集作業の日々。休日は映画館で恋愛作品をチェックするのが定番の過ごし方。恋する女性すべてを美しくしたい!とファッションや美容についても目下勉強中。