切っても切れない恋と人類の歴史!時代で変わる恋愛ルール

2018.3.15
いくつも重なった歴史的書物と時計

不倫といえば道徳的に悪いものとして、社会から糾弾されるものになっています。不倫をした有名人たちに対する風当たりを見ても、尋常ではありません。しかし、時代が変われば、不倫に対する常識も世間からの反応もまったく違うものなのです。

平安時代は男性が数多くの女性の元へ通うのが甲斐性

平安時代は恋愛の形が自由だったようです。「源氏物語」などでも知られるように、正妻の他にたくさんの愛人を持ち、愛人の元に足しげく通うというのが男の甲斐性とされていました。むしろ、ひとりの女性しか愛さない男性はまじめで野暮とされていたようです。しかし、人妻となっている女性にちょっかいを出すことは非常識だとされ、社会的にも非難されたようです。

恋愛のはじめ方も今とはかなり違いました。女性の顔を簡単に見ることはできなかった時代なので、女性の噂に恋をしたのです。噂の中で気になった女性がいれば文(手紙)を出し、気が合えばいきなり訪れて夜這いをする、という今からは考えられない恋愛形式だったようです。その家の従者を手なづけるなんてこともあったそう。
また、結婚できる年齢も今よりずっと若く、男性は15歳、女性は13歳で結婚できました。しかし、どんな時代でも男性は若い女の子に惹かれる傾向があるようで、10歳ほどの女の子を見初めることも多かったようです。「源氏物語」でも光源氏が8歳の紫の上を見初めた場面がありました。

男性優位ではありますが、今よりは恋愛はオープンだったのですね。

不倫に対しての制約が生まれた鎌倉時代

なんとなく牧歌的な平安時代でしたが、鎌倉時代ともなると若干事情が変わるようです。御成敗式目で、不倫密懐に関する処罰が規定されています。不倫は領地を半分没収され、職務も罷免となります。武家文化の中で厳しく処罰されることが始まりました。

基本的には一夫多妻制なので、独身の女性にはどんどん声をかけてもいいのですが、既婚の女性にちょっかいを出すと裁きがくだされたようなのです。御成敗式目の中でも「密会方」「蜜懐(びっかい)法」という法律で、既婚女性と不倫をすると所領を半分召し上げられ、財産のない者は島流しされました。
自分の家で妻が他の男性と密会している現場を見つけた場合は、相手の男性を斬り殺しても罪にはならないなどの決まりもあったとのこと。家のどこかで見張っていて、妻が密会するのを待ち、相手を斬り殺すということも多々あったとされています。

この御成敗式目、戦国・江戸時代を通じて武家に強い影響を与え、武家法の基礎ともなりました。

日本の江戸時代の男女

江戸時代は武家と庶民で大きく異なる不倫事情

鎌倉時代に制定された御成敗式目によって、不倫を厳しく罰する法律ができ、江戸時代にもそれは強く影響を及ぼしました。
不倫は重罪とされ、江戸時代ではそれが発覚した場合は男女共に切り捨て御免となっても文句は言えませんでした。
自分で切り捨てることができない場合は、妻に三行半(みくだりはん)を叩きつけ家から追い出したり、番所に届け死罪を要求したりしていたようです。
しかし男性には遊郭があり、そこで遊ぶことは許されていました。

武家社会はこのように非常に厳しく不倫を取り締まっていましたが、庶民の場合はもっとおおらかだったようです。配偶者以外と性交渉をすることは珍しいことではなく、当時混浴だった公衆浴場などで交渉ということもあったとか。
厳しい取り締まりはあるものの、江戸時代は圧倒的に女性が足りなかったので、女性の不倫は密かに容認されていた模様です。落語でも妻の不貞をテーマにした噺は多く、実のところ女性優位だった社会を風刺していました。江戸時代では子供の父親がよくわからない、というのもよくあることだったようです。

不倫は今後どのようになっていくのか

発覚すれば死罪になるとはいうものの、庶民の間では江戸時代までわりと自由に不倫はあったようですね。事情が変わってくるのは明治以降のようです。

姦通罪というもので厳しく罰されるようになり、庶民も江戸時代のようにおおらかに不倫を謳歌するわけにはいかなくなってきます。子供の父親が誰かわからない、という事態を避けるためにこのように厳しく取り締まられるようになったのでしょう。家系を残すためなのですね。父権が強い社会では不倫は糾弾されるというわけです。
さて今後、不倫はどうなっていくのでしょう。ますます非難されるようになるのでしょうか?しかし結婚という形式事態が今後、揺らいでくる可能性があります。フランスのように事実婚が認められるようになってくるかもしれません。

少子化を防ぐことが今後の重要な社会問題。結婚という制度自体はそれほど重要ではなくなるのではないかとも言われています。そうなると、不倫そのものの意味もなくなってきます。皆が自由に恋愛をする社会というのは案外、平和だと言えるかもしれません。

ECRII編集部 利根川

ECRII編集部 利根川

大学では心理学を専攻、卒業後、某出版社勤務を経て現職。趣味は人間観察。一見、色香豊かな女っぽい容姿にも関わらず、男性・女性に偏らないフラットな物事の見方や男女問題にまつわる過去の取材、手掛けた記事といった膨大なデータから導き出す的確なアドバイスに、男女を問わず周囲からの恋愛相談が耐えない。将来の夢は『猫たちと平穏に暮らす石田ゆり子』になること。

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