小さな恋がはじまったり、ひとつの愛が終わったり。
映画や小説の舞台になるのもうなずける、非日常がつまった特別な場所、それがBAR。
デートで訪れることはあっても、女性にはなかなか敷居が高い場所だからこそ、男の人がBARで何を考え、どんな行動をしているのか、青山界隈の知るひとぞ知る某有名BARのマスターに、こっそりecrii編集長(♀)自ら聞いてみました。
男の人って、BARで何してるの?
編集長:男の人って、ひとりでBAR行ったりしますよね。この目的ってなんでしょう?
マスター:結婚している人と、独身の人ではBARでの目的が違うんですよね。
結婚している方はね、〈リセット〉しに来るんです。
自宅に帰る前に、一度スイッチをオフにして素の自分に戻りたいんでしょうね。
オンのまま、仕事の顔をして家庭に帰るのはイヤなんだと思います。
僕とくっだらない話なんかをして、2杯くらい飲み終える頃には、席に腰掛ける時までのシュッとしていた顔も、ふにゃっとした優しい顔つきになって。
あとはね、奥さん+娘さん2人のような自分以外は全員女!みたいな家族構成の方は、ほら、女性たちのパワーに負けないように(笑)、ちょっと元気をチャージしてから帰るんでしょうね。
編集長:新しい女性との出会い目的かと思ってた(笑)。
独身の方はどうですか?
マスター:うちのお店はね、場所柄か20代のお客様ってほとんどいらっしゃらないんですよ。
中心は30代から40代。
だからでしょうか、30代で彼女が数年いない、なんて男性もダイレクトに出会いを探しているというよりは、馴染みの常連さんや私たちバーテンダーとわいわい交流することを目的に来てくださっているような感じです。
そのまま自宅に帰るよりは、気の許せる人たちの顔を見て帰ろうかな、とかそんな感じで。
いろんなお店がありますが、僕の店は〈ちょうどいい〉居心地の良さをテーマにしています。
カジュアル過ぎず、敷居が高過ぎず。だから、お客様もギラギラはしていないかも知れませんね。
編集長:お客様の構成は?
お一人でいらっしゃる方も多いんですか?
マスター:うちの4割はお一人様です。
3割はカップル、もう3割は会社の同僚の方たちとグループでという感じ。
カウンターはお一人の方が多くて、私との会話を楽しんでくださってますね。カップルは、ソファー席があるのでそちらで二人きりで飲んでいらっしゃることが多いでしょうか。
グループの方はその会の雰囲気に応じて。
編集長:カップルでデートなら、横並びになれるカウンターのほうが良さそうなのに!
マスター:会話を聞かれたくない、というのもあるのかも知れませんね。
常連さんは、私と彼女を交えて会話したい、それこそ会話なんて聞かれてもかまわない、といった雰囲気でカウンターを選ばれる方も多いですよ。
編集長:実際、マスターには口説いてる会話って聞こえてるんですか(笑)?
マスター:うーん、すべてのテーブルにアンテナを張っているから、聞こえないようなそぶりをしていても、実はすべて聞こえています(笑)。
でも、これって僕にとっては日常茶飯事のことだから、気には留めませんね。
仲良しのお客様だったら“がんばれ!がんばれ!!”とそっと応援したりはしているかも。
二軒目で「BARに行こうか」と誘ってくる男性の真意
編集長:ちょっといいなと思っている男性から、ふたりきりの食事の後に「ちょっとBARで飲みなおそうか」って言われたら、いろいろ期待しちゃうんですが。
マスター:もうちょっと、この人と話してみたいな、という気持ちはあると思います。
でも、すべてが好意とは限らない。
男の人ってね、すごく優しいから、きっと女性よりも。
だから正直、好意はなくても“一軒だけで帰らせたら申し訳ない、傷つけちゃうかも”って、BARに誘う人もいるんです。
編集長:え!それ超傷つくんですけど!
東京カ●ンダーの記事には“二軒目に誘われたら脈アリ”って書いてあったのに(涙)!
期待した自分がイヤ…
早く帰りたい…。
マスター:ま、何かしらの思いはあると思いますよ。
あるお客さんは「BARに誘う男の7割は、相手の女の子に気がある」って言ってましたしね。
きっとね、空気感が違いますから、好意がある時の男性は。
きっと隣にいたら、すぐわかると思います。
編集長:実際、BARでのデートってうまくいきやすいんでしょうか?
マスター:うーん、うまくいきやすいというか、BARに来ている時点である程度は〈お互いに好意があること確定〉なんですよね。
だから、結果うまくいく。男性が行きつけのBARに女性を連れて行くというのは、一種の自己顕示欲の表れなんです。
自分の〈ホーム〉を見せるというか。
気心の知れた男友達を紹介するような、ね。
編集長:それは女性にとっても、すごく嬉しいことかも。
マスター:だから、お客様の男性が常連さんで“お!今日は彼の勝負どころだな”と思ったら、多少混み合っていて忙しくても、必ずお客様のもとへカラみにいきます。
「ひさしぶりじゃないですか!」とか挨拶したり、ふざけたり。彼はうちの常連さんなんですよ、ってお相手の女性にもそっとアピールするんです。
男性に行きつけのBARがあって、しかもその店の雰囲気が良かったりしたら、女性はその彼のことを素敵だなって思いますよね。
それで、二人が帰る頃にイイ雰囲気になっていたりしたら、“ああ、今日はいいパス出せたなー”なんて、自己満足ですけどね(笑)。
僕の仕事の喜びのひとつでもあります。
デート@BAR、女性は何をオーダーするのがスマート?
編集長:聞けば聞くほど、やっぱりBARでのデートって好きです。
ちなみに、初めてのBARで女性は何をオーダーしたらいいんでしょう?
メニューがないお店もありますし…。
マスター:マスターに「オススメはなんですか?」って聞いてみるといいですね。
あとは、例えばジンとか、好きなお酒や好きなフルーツを伝えるのもオススメ。
バーテンダーは断らないのが仕事ですからね、好みを伝えれば大丈夫です。
編集長:お酒が飲めないひとは、どうしたらいいですか?
「私は飲めないんで」って言うのも、なんだかせっかくの楽しい雰囲気に水をさすようで言いにくいですよね…。
マスター:確かに、ストレートに断らないほうがベストです。
男性があまり知らないノンアルコールカクテルを頼むのはどうでしょう?
シャーリーテンプルやシンデレラといったノンアルコールのカクテルは、見た目が完全にお酒なので、その場の空気も冷めることなく、一緒に楽しめますしね。
編集長:私自身はお酒を一緒に飲みたい派ではあるんですけど…
ほどよく酔ってる、くらいをキープしたいんです。
つい楽しくなって、べろべろに酔っ払い、男性にひかれた記憶が蘇ります…(涙)。
マスター:例えば、男性が「白州をください」って言うとします。
そこで女性は「同じものを薄くしてください」って言うといいんです、ハーフロックとか、ソーダ割とか。
相手が好んで美味しく飲んでいるものを一緒に共有するっていいですよね。
チェイサーとしてお水が欲しい時も、彼の分まで一緒に「二人分ください」って言っちゃえばいいんですよ。
これはね、仕事でも使えます。
例えば職場の飲み会で、皆がお酒を飲んでいるのに一人だけお茶やお水をもらうのは抵抗があるでしょう。
そんな時は「お水を人数分ください」って言って、周囲を一緒に巻き込んでしまえばいいんです。
編集長:うーん、なんて使えるフレーズ!
同じものを一緒に違うかたちで飲むって、なんだかすごくイイです♡
来週あたり、早速「同じものを薄くしてください」って言いに来ますね(笑)。
BARを男のひとのモノだけにしておくのは、もったいない!
次回は、女性のためのBARの楽しみ方を、引き続きマスターにお伺いします。どうぞ、お楽しみに♡
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青山BARマスター 平山ユキヒロ
青山エリアにある某有名BARのオーナー兼マスター。自分を"リセット"できる場所として、仕事に生きるバリバリのキャリア女子から、近隣エリアの大企業重役まで、幅広い客層でBARは連日賑わっている。端正な顔立ちとウィットに富んだ会話、行き届いたサービスに、マスター目当てで通うお客さんも多数。仕事柄、大人の男女の恋愛模様にも精通したマスターによる的確な分析と優しいアドバイスは心癒されること間違いなし。